コラム
ap bank fes ’25ロゴの制作ストーリー
初めての東京開催となる「ap bank fes ’25 at TOKYO DOME 〜社会と暮らしと音楽と〜」。プロジェクトは2024年の始めから準備がスタートしました。
今までの夏の野外の自然の中でのap bank fesから
東京のど真ん中の東京ドーム、しかも冬で屋内での開催。
どうやってみなさんをお迎えすればいいか、イメージを膨らませ”色々な”工夫”をこらし、準備をすすめています。
その”工夫”の第一弾として、みなさんがご覧いただいたのがap bank fes’25のロゴです。
第二弾アーティスト発表が行われた11/27からはモーションロゴも登場しました。
このモーションロゴが何を表しているか、分かりましたか?
このロゴのデザインを行ったのは、DRAWING AND MANUAL。世田谷区の古ビルの半地下で、こだわりぬいたアウトプットを生み出しているクリエイティブ集団です。
ap bank fes ’25のロゴ制作は、ap bank fesを東京で開催する意味合いや、今後のap bankの活動への思いを小林武史がDRAWING AND MANUALに伝えることから始まりました。それを受けてDRAWING AND MANUALはクリエイティブの力で、ap bankが持つ思いを表現し、みんなに”レゾナンス”を起こしたい、という気持ちで構想を重ねてもらいました。
DRAWING AND MANUALがどのようにロゴを生み出して行ったか、
それがどのようにap bank fes ’25に(すでに)レゾナンスを生み出したか、
彼らの言葉をお借りしながら、その一部をご紹介していきたいと思います。
まずDRAWING AND MANUALはap bank fesのこれまでと、
現在の時代性についての考察からロゴ制作をスタートしました。
2005年、”eco-reso”という言葉とともに、環境や周りの人たちに対する気持ちを伝え、広げていくイメージで始まったap bank fes。しかし環境問題だけでなく、その後東日本大震災を始めとする度重なる災害に対する支援活動や東北でのフェス開催。またコロナ禍においてのシングルマザー支援を始めとする色々な支援活動。そこではフェスのオンライン配信も実施しました。時代に合わせて、その時々に大切と実感したものに対して行動をしていく、というのがap bankの行動指針でした。
それでは、2025年、最初のap bank fesから20年経った現代は、
どういう時代なのでしょうか。
「これまで正しいとされていた価値観が、拠り所を失う時代がやってきた」。
近年、映画や音楽などの世界では、これまで正しいとされてきた価値観がやわらかく鮮やかに否定され、多様性やサステナビリティなどを重視する新しい価値観と、これまで常識とされていた(消費主義的な)価値観の不整合が描かれる表現が注目を集めています。
家族も愛も法律も、理想と現実はだいぶ離れていて、
どこか恣意的で、「正しい」根拠にはならない。
そういう時代の転換期にあたっているのではないか、と。
そういう時代だからこそ、小さくとも、感じるものに沿って、
自分たち自身が変わっていくことの大切さを伝えられないだろうか。
「生まれ直す」。このキーワードが、ロゴを作る根幹のアイデアとなっていきました。
もう一つのキーワードは「卵」です。
新しい開催地である東京ドームはかつて「BIG EGG」と呼ばれていたことをみなさんご存じでしょうか。若い方はご存じないかもしれませんが、「卵」のキーワードはここから生まれました。「卵」という生命の始まりの状態から「生まれ直す」。すなわち卵の「殻をやぶる」というコンセプトワードが生まれた瞬間でした。
ロゴのフォルムは
「a・p・b」をモチーフにシンボルとなるマークを元に構成されました。
生まれ直していく、地中から出てきた新芽のようなイメージが感じられます。
またリズム感ある「a・p・b」は音符のように見えます。
「こういう(音符の)イメージはこれまでありそうでなかったよね」
と小林武史レーダーに引っ掛かり、最終的なロゴが完成しました。
小林武史はこの「殻をやぶる」というキーワードを聞いて、思うところがあったようでした。
11/17の開催発表のメッセージをもう一度読んでみましょう。
「今回のフェスに、皆さんがどんな気持ちを持ち込んで、帰るときに、何に化学反応が起きて、どんな殻を破ったりできるのか(とか、ただの妄想だとも思うけど)。みんながこれから暮らしていくこと、そのための何かのヒントや気づきになれば、何かのきっかけや力になれればと、考えている。」
DRAWING AND MANUALが小林武史の何かとレゾナンスを起こして、「殻をやぶる」というテーマがロゴを超えて出現したのでした。
このap bank fes ‘25のロゴワークは、オフィシャルグッズのTシャツとタオルにもなっています。また、リボーンキーホルダーのチャームが卵型なのは、「殻をやぶる」というキーワードが生まれたからです。ここでDRAWING AND MANUALからのメッセージをこちらでも引用します。
かつて「BIG EGG」と呼ばれた東京ドームで開催されることになったap bank fes ’25。
新しい開催地が持つ「卵」というキーワードと、
小林武史さんとの対話から生まれた発想とを掛け合わせ、
いまこそ生まれ変わらなくてはならない時代性と社会性を、卵の殻をやぶる瞬発力、
エネルギー、原動力に重ね合わせ、弾ける音楽のように創り上げました。
これから先にお見せできるだろう新しい工夫の中にも「殻をやぶる」ビジョンが反映されていくものがあるので、どうぞお楽しみにしていてください。
私たち一人一人の「殻をやぶる」体験を。
普段の行動が少しでも変わっていくレゾナンスを。
そういう時間を一緒に過ごせるap bank fes ’25を目指して、工夫が重ねられています。