ap bank fes ’25 at TOKYO DOME ~社会と暮らしと音楽と~ オフィシャルレポート DAY1

2月15日、16日に東京ドームで開催された『ap bank fes ’25 at TOKYO DOME 〜社会と暮らしと音楽と〜』。2日間で計8万8000人を動員したフェスの模様をレポートする。
今回の『ap bank fes』は、ホームグラウンドのつま恋から離れ、14回目にして初の屋内開催となった。環境問題について身近に考える場を作るという理念で始まったこのフェスは、都心の屋内会場となったことで、新たな挑戦も感じられた。豪華アーティストたちの共演だけでなく、コンセプチュアルな演出も随所に見られ、2023年開催時同様サブタイトルにつけられた「社会」や「暮らし」について、ひとつのストーリーやメッセージ性を感じられるような体験にもなっていた。

会場は2年ぶりの開催を待ち望んでいたファンで満員だ。開演時間になると、まずはアートコレクティブSIDE CORE、ドラマー玉田豊夢、ポエトリーダンスユニット・アオイツキによるオープニングパフォーマンスがスタート。東京の地下を探検するSIDE COREの映像がビジョンに映し出され、躍動的なドラムとダンスが繰り広げられる。



そして「Band Act」のトップバッターとして、ステージには東京スカパラダイスオーケストラが登場。ホーン隊がステージに一列になり「Paradise Has No Border」でライブをスタートさせると客席は一気に盛り上がる。さすが歴戦のライブ巧者だ。「戦うように楽しんでくれよ!」と谷中敦が告げて披露した「DOWN BEAT STOMP」や「わっしょい!わっしょい!」とコールが生まれた「天空橋」とハイテンションなナンバーが続く。


「笑顔のリレーができたら素晴らしいなと思って書いた曲です」とimaseと共に披露した「一日花 feat. imase」、桜井和寿がスカパラのメンバーたちとお揃いの白いジャケットに身を包み歌声を響かせた「リボン feat. 桜井和寿」と、この日ならではのスペシャルなセッションも実現。幸福感に満ちた空間を作り出し、スカパラはステージを降りた。


東京スカパラダイスオーケストラ
- Paradise Has No Border
- DOWN BEAT STOMP
- 天空橋
- スキャラバン
- 一日花 feat. imase
- 水琴窟
- リボン feat. 桜井和寿
- Dale Dale! 〜ダレ・ダレ!〜
休憩を挟み、ビジョンには『Break1 / Movie ~ 殻を破って』が投影された。
AIがストーリーテラーとなり「人間の社会にどんな可能性があるのか」を考えていくという映像は、とても示唆的なものだった。テクノロジーについて、都市と自然について、幸せとは何か、ということについて。経済成長が進む一方で、地球上の森林や生物たちが消失しようとしていることについて。
「人間は何ができる?」というメッセージで締めくくられた映像に続いて、Bank Bandのメンバーが一人ひとりステージに登場する。ドラマティックなメロディを歌い上げた「forgive」に続いて、櫻井は「みんながそれぞれ暮らしている社会から、その暮らしから、この東京ドームに集まってくれて本当にどうもありがとう。そんなみなさんにこの歌を贈ります」と告げて「トーキョー シティー ヒエラルキー」を歌った。
Bank Band
- forgive
- トーキョー シティー ヒエラルキー
Bank Band with Great Artistsのセクションで、まず登場したのはアイナ・ジ・エンドだ。VTRで流れた小林武史と亀田誠治の対談で「とんでもないポテンシャルのアーティスト」「究極の一期一会が見られると思います」と紹介されたアイナ・ジ・エンドは、「風とくちづけと」から思わず惹き込まれるような歌声を響かせる。「今日はものすごく楽しみにしてました」と告げて歌った「キリエ・憐れみの讃歌」では繊細でエモーショナルな情景を描き、「宝者」ではBank Bandの演奏と共に軽やかに舞い、ポップな歌声を響かせる。シンガーソングライターとしての多面的な魅力を見せてくれた。


Bank Band with アイナ・ジ・エンド
- 風とくちづけと
- キリエ・憐れみの讃歌
- 宝者
続いてはimaseが登場。小林が「パターンでコーディネートする感覚が長けている」、亀田が「誠実さ、音楽への正直さが魅力」と紹介した彼は、ゆったりとしたピアノに乗せてファルセットボイスを響かせた「逃避行」からライブをスタート。「楽しんでいきましょう!」と軽快なビートに乗せてステージを歩き回りながら「ユートピア」を歌う。ap bank fes初出演の感慨を「こんな素敵な場所で、すごいメンバーとライブができて本当に楽しかったです」と語ったimaseはラストにグルーヴィーな「NIGHT DANCER」を披露。軽やかなポップセンス、一人ひとりを楽しませようとするエンターテイナー精神を感じた。


Bank Band with imase
- 逃避行
- ユートピア
- NIGHT DANCER
Salyuのライブは「LIFE(ライフ)」からスタート。深く響き渡る歌声が印象的だ。「前回のap bank fesは青い空の下でしたが、そのap bank fesを終えてすぐに、子どもを授かったことがわかりました」と告げ、会場から温かな拍手が巻き起こる。昨年春に第一子を出産、ソロデビュー20周年を迎え、人生においてもアーティストのキャリアにおいても大きな節目の年となったSalyu。デビュー曲「VALON-1」を歌い終えると「このフェスが私の活動を引っ張って、引き上げてくれたと思っています」と感謝の思いを語る。
「新しいYES」で締めくくったSalyuのライブは、ap bank fesと共に歩んできたキャリア、そこで育んだ出会いと共に、全身から放たれるその歌声の力を感じさせてくれた。


Bank Band with Salyu
- LIFE(ライフ)
- VALON-1
- 新しいYES
そして大きな盛り上がりを生み出したのがスガ シカオのライブだった。長いキャリアと様々なスタイルを持ち合わせる彼だが、この日に見せたのはポップソングの王道とスペシャルなセッション。ライブは「Progress」からスタート、「みんな自由にノッて、身体を動かしていこう」と告げて披露した軽快なディスコナンバーの「午後のパレード」では、大勢のダンサーを従えた華やかなパフォーマンスを見せる。
「KAT-TUNが解散するニュースがあって。僕はデビューの時からずっと関わってきたので、正直寂しいのが本音です」と語るスガ シカオ。KAT-TUNのデビュー曲「Real Face」はスガ シカオが作詞を、B’zのギタリスト松本孝弘が作曲を手掛けた一曲だ。「この曲は松本さんと僕との共作なんです。今日は東京ドームだしさ、やっぱり呼びたいじゃん」と、客席にどよめきと歓声が響く中、松本を呼び込み「Real Face」をカバー。観客がタオルを振り回し、会場は熱狂に包まれる。とてもスペシャルな瞬間だった。


Bank Band with スガ シカオ
- Progress
- 午後のパレード
- Real Face(with 松本孝弘)
休憩と転換を経て、ステージには東京QQQが登場。「東京QQQデパートには、さまざまな生き様を取り揃えております」という口上から、“生き様パフォーマンス集団”としての強烈なインパクトのパフォーマンスを繰り広げた。


そしてMr.Childrenが登場。「さあ行こうか、東京ドーム!」という桜井の一言からスタートしたライブは圧巻のパフォーマンスだった。「擬態」、「海にて、心は裸になりたがる」と、力強いバンドサウンドの楽曲を披露し「HANABI」では「もう一回 もう一回」のフレーズを全員が声を揃えて歌う。「Brand new planet」では、スケールの大きなアレンジにキラキラとした光を感じる。ライブでは披露したことのないレアなセレクトの「街の風景」は、Bank Bandのメンバーも参加したフォーキーでアコースティックな曲調だ。
「タガタメ」や「HERO」では、力強くどっしりとした演奏に、桜井の切実な歌声が胸を打つように響く。最後は「ap bank fesがなければ生まれなかっただろう、小林さんとの出会いがなければできなかっただろう、この歌を」と告げて「彩り」を披露した。「ただいま」の歌声に応えて「おかえり」と全員が合唱する。「愛してます!」と桜井が叫び、大きな拍手が巻き起こる。感動的な余韻を残すステージだった。

Mr.Children
- 擬態(with 小倉博和)
- 海にて、心は裸になりたがる
- HANABI
- Brand new planet
- 街の風景(with 小倉博和、沖祥子、イシイモモコ、小田原 ODY 友洋)
- タガタメ
- HERO
- 彩り(with 小林武史)
再びの転換を経て、ビジョンには『Break2 / Movie ~ 空になって』が投影された。
映像はAIの視点から、人間の社会、暮らし、その根源にあるものを探っていく。ラストにはBank Bandの「MESSAGE -メッセージ-」の歌詞が映し出され、そこからBank Band with Great Artistsのステージがスタート。まずは櫻井和寿とSalyuの2人が「MESSAGE -メッセージ-」を歌う。楽曲の内容がより立体的に伝わってくるような演出だ。
Bank Band
- MESSAGE -メッセージ- (with Salyu)
続いては「同級生です!」と櫻井に紹介され、槇原敬之がステージに登場。櫻井をバッキング・ボーカルに「超えろ。」を歌った槇原敬之は「一緒に歌うことなんてなかったもんね。本当に嬉しく思ってます」と笑顔を見せる。「もうすぐ春がやってきます。いろんな思い出があると思います。今日は心を込めて歌います」と披露した「遠く遠く」では、優しく包容力のある歌声を響かせる。
櫻井とのデュエットで披露した「僕が一番欲しかったもの」では、「この曲を彼が歌うとロックになるんですよ」という言葉の通り、曲の持つ新たな表情が伝わってくる。最後は「もしよかったら一緒に歌ってください」とオーディエンスの大合唱が巻き起こった「どんなときも。」。一人ひとりの胸のうちを掴む。抱擁力に満ちたパフォーマンスを見せてくれた。


Bank Band with 槇原敬之
- 超えろ。
- 遠く遠く
- 僕が一番欲しかったもの
- どんなときも。
「あったかいし、楽しいし。マッキー最高!」と槇原を送り出した櫻井は「みんな待ってたよね、熱いの! 熱くなりたいんだ!」とB’zの松本孝弘と稲葉浩志を呼び入れる。
大歓声に迎え入れられたB’zはまず「イルミネーション」を披露。華やかで力強いロックの興奮で会場を満たす。流石の貫禄だ。歌い終えた稲葉は初めてのap bank fesに出演した喜びを語り「僕たちだってみなさんの声が聴きたいんです」と観客にコール&レスポンスを呼びかける。マイクから離れても地声でドームのスタンドまで届く脅威の声量だ。
壮大なロックバラードの「Calling」から、「腹の底から、思いっきり楽しみたいと思います」と稲葉が告げ、ラストは「ultra soul」。数万人の「ハイ!」というコールが響きわたる。この日のクライマックスにも感じられる強烈な盛り上がりだった。

Bank Band with B’z
- イルミネーション
- Calling
- ultra soul
B’zの二人がステージを去ると、ビジョンには、2023年11月に惜しまれながらこの世を去ったKANの写真が映し出された。『ap bank fes』にもたびたび出演してきたKANのことを「独特なKANさんの世界に僕らを引きずり込んでくれて、楽しませてくれたり、感動させてくれました」と振り返る。「続いての曲は、KANさんへの感謝とリスペクトを込めて」と「50年後も」を丁寧に歌い上げる。
さらには高らかに「奏逢 〜Bank Bandのテーマ〜」を歌い「もっともっと!」と客を煽る。クライマックスの盛り上がりを生み出し「to U」では小林武史のピアノに祈りの旋律が響く。ラストはこのフェスのために書かれたBank Bandの新曲「カラ」だ。コーラスにはSalyuとアイナ・ジ・エンドが声を重ねる。様々な出会いと縁が結実するような感慨に包まれる。紙吹雪が舞い、感動的な余韻を残して『ap bank fes ’25』の1日目は終演した。



Bank Band
- 50年後も
- 奏逢 〜Bank Bandのテーマ〜
- to U(with Salyu)
- カラ(with アイナ・ジ・エンド、Salyu)
