この本は、サンフランシスコで製品開発および
コンサルティングを行っている会社に所属する4名の著者によって、
いまの時代のモノ作りの秘訣が書かれています。
タイトルの『SUBJECT TO CHANGE』とは、
日本語では「変更の可能性がある」という意味です。
これは世の中は変化が早く、
製品開発中にすぐ予測不可能の変化が
起きてしまうという状況を示しています。
さあ、ではそんな中でどうするか?
その答えが明確かつ論理的に本の中で示されています。
説明する例として出てくるのは、ダイソンの掃除機や
iPhoneであったり、お店に並んでいる商品ですし、会社や組織、
もしくはそれらに属する読者に向けられて書かれてはいますが、
製品開発に全く関係のない人にも参考になるような
普遍的なヒントが隠されているように思います。
たとえば、とある赤ちゃんのおしり拭きを製品化している会社は、
いくつかの家族の自宅の中にはいって観察することによって、
親が赤ちゃんのおしりを拭くとき、
めったに両手が空いていることはないことを知り、
おしり拭きを片手で取り出せるようにケースデザインをやり直しました。
この成功例には、作っている側が使う側の気持ちを
理解することの重要性と、当たり前と思っている視点を一度見直し、
しかるべき別の視点から物事を見つめることで、
今まで全く見えていなかった問題解決方法が明らかになることが
鮮やかに示されています。
赤ちゃんのおしり拭きは成功例ですが、失敗例も多々紹介されていて、
それらを見ていると漠然とですが、
考えることをやめてしまうか、考えることをやめないか、が
成功と失敗の違いのようにも見えてきます。
ここで某バスケットボールマンガの有名な台詞が脳裏をかすめましたが、
せっかくなので、本書にあるApple社の創始者、
スティーブ・ジョブスの言葉を引用します。
「最初に問題を見たとき、それがまるで簡単そうに見えたなら、あなたは問題の複雑さを正しく理解していません。やがて問題に突き当たり、それが本当は複雑だったことを知り、複雑きわまりない答えを出します。これは一種の中間点のようなものなのですが、ほとんどの人はここでやめてしまいます。しかし、本当にすごい人物は、鍵、すなわちその問題の根底をなす原理を探し続け、ついにはエレガントで本当に美しくて使える答えを出します。」
ジョブスは、この台詞に続けて、
「われわれがMacでやりたかったことがそれでした」と語りますが、
だれにでもジョブスにとっての「Mac」に代わる何かがきっとあるはずです。
そして、本書はその大事な何かを考え続けるための参考になるはずです。
(ei)