棚田は、優雅です。
でも優雅なだけではありません。
機能もすごい。
まず、保水機能。
斜面に降った雨を、すぐに海に流出させてしまわず、
ゆっくりと迂回させて保水します。
大雨のときは、「ダム」としても機能するのです。
棚田が調整できる水量は、5.9億立方メートルにもなるそうです。
(ちなみに黒部ダムの有効貯水量は、1/4の1.5億立方メートル)
さらに、生物多様性も保っています。
用水路と排水路がわかれている田んぼは、
生き物は、一度排水路に流れてしまうと、
元の場所に戻ることはできません。
そのまま流されてしまいます。
棚田は、用水と排水を兼ねた水路が残っていることが多く、
生き物は、田んぼと水路を回遊できます。
田んぼにすむ生き物、周辺にすむ小さな動物、植物など、
多様な命が複雑な調和を作りあげています。
……優雅さと機能。
それを保つのには手間がかかることも事実です。
この石部地区の棚田も、7年ほど前まではほとんどが
放棄田だったのだそうです。
県や町、NPO、地元住民、ボランティアが協働して
少しずつ復田され、
約20ヘクタールのうち2ヘクタールほどがよみがえったのだそう。
今回はじめて棚田を目の前にして思ったのは、
「稲が育つ場を育てる」作業こそ、
田植えよりも、刈り入れよりも、
主役級の作業なのかもしれないな、ということです。
階段状に小さく区切られた棚田には、
大型の機械は入ることができません。
人手によって石を積み上げ、土を塗って、
畦(あぜ)を修復します。
用水路の手入れも、草刈りも、
田んぼの表面をならす代掻き(しろかき)という作業も、
人の手。
棚田の機能も、私の心をわしづかみにするあの美しさも、
その作業あってこそなんだと思いました。
今回おじゃました石部の棚田は、
1年間、区画単位で田んぼのオーナーになれる、
すてきなしくみが整っています。
今回はたまたま田植えでしたが、
ほかにも作業はたくさん。
食べものをつくるってどういうことなのかを実感したい人にも、
農作業を少しだけやってみたい人にも、
小さく区切られたものを見るのが好きな人にも、
行ってみてもらいたいなあと思いました。
(kuni)

帰りは伊豆急行に乗って。
地ビールと。
刈り入れ編に続きます!