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monologue text by takeshi kobayashi -小林武史が日々思いついたり、考えていることを書いていきます。-

クルックについて −5−

2007.11.23 Fri

この間、ミシュランで三ツ星をとった神田さんが、
実はクルックキッチンのプロデュースをしている
ということをここで書きました。
神田さんとの出会いは、もう随分前のことで、
10年近くになるのかな。
僕がニューヨークに住んでいた99年ぐらいからの
2年間もたまに連絡をとったりしていて、
彼はアークヒルズの中に入っている「バサラ」という
大きなレストランの総料理長を務めていて、
ニューヨークにいる僕に、「今度、バサラのパリ店を
出すと思う」とかいうメールをくれた記憶があります。

僕がap bankを立ち上げて、音楽を通して実感する
ことで想いを伝えていくということをやり始めて、
音楽以外のことで実感できることって何だろう、
と考えた時に、比較的食いしん坊の僕は食べることと
いうのが浮かんできました。
漫画「美味しんぼ」などでも、食を通して見る
環境問題や、現在や未来の在り方を感じていたので
食とap bankの活動などを組み合わせていきたいと
いうことを神田さんに、なんとなく相談していったのが
始まりでした。

いろんな段階を経てクルックプロジェクトがスタート
できることになって、彼が出したクルックキッチンの
テーマというのが「土の中に未来がある」というものでした。
具体的に言えば、自然のエネルギー、炭や薪を使い、
日本の昔の家にあったような釜を用い、健康な飼料を
食べている牛や豚、できるだけ国産にこだわり、
もちろん安全でおいしい野菜なども使い、じっくり
調理するという内容でした。
それを聞いた時に、僕が作りたいなと思っていたお店と
まさに一致しました。

これはいまだにクルックキッチンの柱となっています。
わかりやすく言えば、本当においしいお肉と野菜が
食べられるというシンプルなコンセプトです。

ワインなども、ビオワインといって、できるだけ低農薬、無農薬に
こだわるワインを、フランスのみならず日本の生産者にも参加
してもらいながら、消費の流れを変えていこうという
ビジョンを描きました。

話は脱線するようですが、
今日からBank Bandが主題歌を、僕が音楽を担当している映画
「ミッドナイトイーグル」が公開されました。
映画はいろいろな意味で賛否両論わかれるところがあるので
細かいコメントは控えておきますが、この主題歌の
「はるまついぶき」の誕生に神田さんが関わっています。
前にコメントでも、クルックのスタッフが僕にメールをくれて
「カレーがあまってしまうので新潟の方に
持っていってはどうか」と提案してくれたと書いたかと
思います。その人が実は神田さんでした。
「神田さんが言わなかったら『はるまついぶき』の誕生も
なかったかも」と言いましたら、
「言うは易しで、実行することが大変なんで」
と笑いながら謙遜していました。

昨日も神田さんの仲間うちでお祝いのパーティが
あるというので、ぜひ来て欲しいということで
僕も夜遅く顔を出しに行ってきましたが、
本当に三ツ星とって良かったなと思う反面、
ミシュランガイドの在り方というのも
不思議なものなのだなという思いも感じています。

明治時代に入って文明開化が入ってから150年ぐらい経っているのに、
欧米からこれだけ権威のあるものがある意味いきなり
「我々の評価はこうですから」ということを提示するということは、
もうほとんどないことではないでしょうか。
それで日本がこれだけの騒ぎになるということも。

僕の友人である神田さんの上に、
その大きなくす玉が割れたことは本当にうれしいことなんですが、
同時に、なんとなく釈然としないものも残ります。
例えばミシュランガイドも、読んでいて
彼らが選んだということを有り難がる以外には、
読み物として、わりとよくある表面的なガイドブックにしか過ぎず、
「かんだ」も良いお店として常連ではありますが、
例えば「東京最高のレストラン」という本などの方が、
なぜそのお店が良いのかという分析や情報も、
より深く理解できるものもあります。
なぜそれが選ばれたのか、ということが、例えばどこがいいのかとか、
もう少し普通の審査って具体的じゃありません?
それはきっとノーベル賞にしても芥川賞にしても
言えることのような気がします。

でもミシュランガイドは、そこがいまいち不親切であるのは、
伝統ある権威ということになるのかな。
やはり権威のあるものが決めたというものを、そのまま鵜呑みに
できない僕の性格のせいなんだと思うんですけれど。
なんかねぇ。。。。。

とはいえ、何度も繰り返すけれど、「かんだ」および神田さんは
素晴らしいお店であり、素晴らしい男であり料理人であることは
間違いありません。

どさくさに紛れてはおりますが、予約の電話が鳴りっぱなしの
「かんだ」に行くのはしばらく諦めてもらったとしても、
彼の志を受け継いでいるクルックキッチンにどうぞいらしてください(笑)。

クルックについて ーその4ー 「祝・かんだ」

2007.11.20 Tue

前回でカフェのプロデューサー・山本宇一氏のことを
紹介させてもらって、なにかが抜けているなあと
思ったのは、クルックキッチンのプロデューサーを
紹介してなかったなということだったのです。

これ、本当にマジで次回クルックキッチンのプロデュサーを
紹介しようと思ってたんですけども、彼はそもそも
クルックキッチンのコンセプトを作った人であり、
そもそものap bankの意義を説明して、
クルック構想を一番始めに打ち明けた人でもあります。
その人、名料理人・神田裕行氏が経営し手腕をふるう
名店「かんだ」がですね、なんとなんと、このたび発表に
なったミシュラン東京の三ツ星を、星三つをいきなり
獲得してしまったんです。

昨日ですね、神田さんから午後一で電話があって、
「武史さん、僕、ミシュラン東京版の三ツ星取っちゃった!」
といきなり言われて、いまいち亊の重大さが理解できて
なかったのは、今回のミシュラン東京版が出来ることの
情報を一切チェックできてなかった僕は、なんとなく
ミシュランといえども、本来の世界規模のものではなく、
いわゆる「東京版うまいものや」みたいなものを
連想してしまったからなんです。

でも「神田さんがミシュランの三ツ星取ったらしいよ」と
スタッフに言ったところ、みんなが目を丸くして
「えーっ!」とひたすら驚き、後から僕もじわじわと
喜びがあふれてきましたよ、本当に。
昨日は神田さんもお店を閉めて、各局の取材に追われ
まくっていたらしいですが、今日は朝からワイドショーにも
出突っ張りでした。

僕は今日、会う人、会う人に、
「神田さんが三ツ星取った、万歳!」を連呼してる
ような一日で、お昼すぎに神田さんと改めて電話で話した
時に、思わず涙が出そうになりましたよ。
いやあ本当によかった。

そんなわけで今日、これから神田さんところに行って
祝杯あげてきます。

クルックキッチンと神田さんの繋がりに関しては
また次に書きますね。

クルックについて ーその3ー

2007.11.16 Fri

もともとクルックカフェをつくった時の
コンセプトは「グリーンカフェ」で、
実際に観葉植物などの販売もして、
そのグリーンが置かれている気持ちのよい
スペースがカフェになる、というアイデア。
できあがってみると実際に緑がたくさんあって、
いかにも気持ちのよい空間ではあったんですが、
かなり苦心して気持ちのよい、
天井が高い2階スペースをつくったものの、
そこにカフェがあるということが
なかなか伝わりきらないという問題が
生じました。
やっぱり僕の発想が若干安易だったと、
今振り返ってみると、思うわけです。
気持ちのよいグリーンとカフェをミックスすれば
それはそれに越したことはないというレベルで
考えていたんだと思います。

いろいろ考えた上で、約半年前に、
やはりクルックやap bankにとって
できるだけONになっている場所としての
カフェでありたい、という思いに立ち返りました。
そして「そもそもよいカフェとは何だ?」という
テーマのもとに、相談できる人間を
さがしたところ、運良く山本宇一氏という
カフェのプロデューサーに出会えました。

僕も特に音楽のプロデューサーとしては
例えば楽曲の、アルバムの、コンサートの作り方に
関してなど、どこをどういうふうにすると
問題がクリアできるのか、そのコツとか、
実は様々なテクニックを持って処方箋をたてたり、
手術をしたりしているのですが、僕が山本宇一氏に
会った時に「ああ、やっぱりカフェをつくる世界にも
そういったことが隅々まで分析できて
再構成できる人間がいるものなんだ」と正直驚かされて、
またそんな人が存在していることを、
すごく嬉しく思いました。
以来僕も何度か迷いつつ、それを二人で
話すことによって解消もしつつ、
そしてクルックのスタッフも、やっと方向性を
見つけ出して、みんなで楽しくやりとりを
させてもらっています。
そして彼と共に考えたプランーークルックやap bankの
辿るべき道として、よいカフェをつくるプランーーに向かって
進行中です。

12月の半ばからリニューアルオープンとなる予定です。
年末年始など、ぜひぜひのぞきに来てください。
来て、体現していただくのが、一番だと思います。
それがクルックの新しい魅力の誕生として
みんなに伝わるのではないかと思っています。

クルックについて ーその2ー

2007.11.09 Fri

前回のモノローグで、「いばらの道」と
いう言葉を使って、ap bankのとあるスタッフから
間接的に指摘が来たのですが、
「いばらの道、ということはクルックは失敗だったと
いうことなのでしょうか」的な身内の意見があり、
「まあなるほどね」となかば笑いながら
その指摘を受け止めました。
もちろん失敗だと思っていたら
カフェのリニューアルなんぞしませんし、
そこのところをガラス張りで見せたほうが、
クルックに興味を持ってくれてる人にとっても
その方がいいと、判断しているから書いたのです。

まあたしかに「いばらの道」というのは、
いかにも痛々しく
そこまでチクチクしていたかと言えば、
ちょっと違うかもしれないけれど。
じゃあどんな道だったかということを
皆さんにも誤解のないように、できるだけ
言葉を選んで話していきたいと思います。

前回も話しましたが、クルックは
「まず始めてみよう」ということでスタートしました。
スタート時の「クルックとは?」というので
webにも掲載していますが、

「kurkkuは、快適で環境にも良い未来へ
シフトしていくための消費や
暮らしの在り方を考えるプロジェクト。
まずは自然に育った素材が楽しめる
レストラン/カフェ、エコとデザインを
テーマにしたセレクトショップ、
環境や暮らしについての本が揃うライブラリー、
暮らしを気持ちよくするグリーン(植木)のお店を
スタートさせます。kurkkuは「場」であるお店を
通じて、からだが喜ぶ食べもの、デザインも良く
環境にも良いモノ、良い暮らしのケーススタディを
伝えていきます。」

このように書いてあります。

そういうコンセプトをもって、大海原に
漕ぎだしていったのが第一段階だと思っています。
とにかく、クルックの創業に関わっていた
数人の意思に賛同して集まってくれた人たちが、
創意工夫をして神宮前の場所で
とにかくスタートしたわけです。
これがなんと3ヶ月ぐらい経った段階で
「このままの状態がずっと続くと、この船は
沈むかもしれない」という危機感を覚えたわけです。

理由はリーダシップを取るべき人間の経験のなさや、
フリーランスでやっていた人たちと企業からやってきた
人たちの意識の違いなど、具体的な問題もたくさんあったと
思いますが、大まかに言えば二つ考えられたと思う。

一つは自分たち一人ひとりでクルックを支えているんだ
という意識がまだ全然足りてなかったこと。
これは創業して3ヶ月レベルで浸透しきってる方が
おかしな話だとも言えると思います。
そしてもう一つは、やはり自分たちは環境や持続可能な
社会づくりのために良い事をしているんだということを、
どこか免罪符にしていて、どれだけお客様たちの
目線に立ててたかということ、もしくは立てていなかったと
いうこと、につながるのではないか。

僕は最近本当に感じていることだけど、
環境のことにせよ、エンターテイメントのことにせよ、
選んでいくのは、「今を生きてる人々」なんだと思うんです。

そこに必要なのはやっぱり頭でっかちな優等生的発言よりも、
みんなが選ぶべき魅力なんですよね。

ちょうど僕らが船出をした時に、「ロハス」という言葉が
流行りだしていた気がするんですが、
僕もこの言葉とどういうふうに接点を持っていけばいいのか
悩んでいた記憶があります。
上記したクルックのコンセプト的能書きは、
やはりロハス的なムードに満ちている感じもします。

ご存知とは思いますが、ロハスとは
Life of Health and Sustainabilityの頭文字を取った言葉です。
要するに持続可能な将来に向かってのライフスタイルのこと。
なんとなくロハス度が高いとか低いとかいうイメージを
当時僕は持っていたけれど、未来に対していいことをやる
物差しみたいなものかな。
でもそれが特に去年から始まった「不都合な真実」の
リアリティで環境問題からロハスというスタイルを
計る物差しは、消沈してしまったような気がします。
マジで地球はヤバいんだっていうリアリティが、
おしゃれなロハスを駆逐して、いい意味で広がって
いったとは思う。
最近は更に、その「不都合な真実」の衝撃も薄れて、
また現状に慣れだしているという感じがします。
でもそれもリアリティなんだと思う。
だから未来にいいことをやろうと思って集まった人たちによる
プロジェクトが、3ヶ月で「このままだとこの船は沈む」と
いうふうになるのも当然あっておかしくない。
だから僕らはそれから1年かけて、とりあえず沈まない
船づくりということを目指してきました。
それが、つい最近まで続いていた第二段階だと思っています。

ビジョンに向かってきちんと進んでいけるというのが
第三段階だとしたら、第三段階に入る時に、
僕らが新たに目指すものは、まだ正直言って、
最初にあげたコンセプトのように、きれいに
書き表すことができないでいます。
でも僕はそれでいいと思う。
感じとしては「自由競争の社会の中で魅力あるものを
作り続けるということ」と、「それぞれの多様性が
持っている生命力がそれぞれ伸びていく力を
手助けすること、そしてそれをつないでいく
ということ」との間に生じてくる矛盾に、
ちゃんと感覚とか感触を持ちながら進んで行こうと
いうぐらいしか今は言えませんが。
(これもいつか、もうちょっとわかりやすく
説明したいと思います)

カフェに関して言えば、環境にいいカフェとか、
その問題に気づかせるカフェってそもそも何なんだ、
そんなものがあった方がいいという前に、
そういうリアルな「今を生きてる人々」が勝手に
集まりたい場所、居心地のいい場所としてのカフェをつくる。
そのカフェが未来に向かって持続していくためにリアルに
存在していく、みたいなね。。。。

カフェのリニューアルな話がちょっと広がって
しまいましたが、次回更に、このカフェを
変えることになるきっかけについて
書きたいと思います。

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